推薦入試の自己PRをAIにそのまま書かせていいか迷う受験生に向けて、責任感や主体性といった資質のラベルを行動の場面に戻す直し方、面接で掘られる前提での書き方、提出前のセルフチェックまでを順番に解説します。
推薦入試の出願書類、自己PR欄の文字数指定だけが目に入る夜がある。
検索窓に「自己PR 例文」と打ち込んで、画面をスクロールする指が止まらない。
出てくる例文はどれも、部活動で県大会に出た話や、生徒会長として何かを成し遂げた話ばかり。
「自分には、そんな実績なんてない」
そう思って、検索窓をそっと閉じた経験がある人は、少なくないはずです。
でも、自己PR欄で見られているのは、実績の大きさそのものではありません。
見られているのは、この文章を書いた人がどんな人物なのか、その輪郭がどれだけはっきり浮かぶかどうかです。
「責任感があります」「主体性を持って取り組みました」。
そう言い切ってしまえば、指定された文字数はあっという間に埋まります。
けれど、その一文だけでは、書いた本人の顔は浮かんできません。
責任感という言葉も、主体性という言葉も、それ自体は間違っていない言葉です。
問題は、その言葉の後ろに、実際の場面が続いていないことのほうにあります。
実績の欄がすかすかだから自己PRも書けない、というわけではありません。
賞や役職がなくても、日々の行動の中に、自己PRとして書ける材料はすでにあります。
次の章で、AIに下書きさせた自己PRが、なぜどれも似通ってしまうのか、その理由を見ていきます。
AIに「自己PRを書いて」と頼むと、驚くほど早く、それらしい文章が返ってきます。
責任感、主体性、協調性、リーダーシップ。
もっともらしい資質の名前が並び、文章としての体裁はきれいに整っています。
ここで誤解したくないのは、AIが手を抜いているわけではない、という点です。
AIは、自己PRという文章によく出てくる言葉の組み合わせを学習していて、その型を忠実になぞっているだけです。
この判定ツールを作るとき、AIの文章と人間の文章を何十本も読み比べました。
AIが書いた自己PRのほとんどは、資質の名前を2つか3つ組み合わせて、それらしく仕上げる構造になっていました。
「責任感を持って最後までやり遂げました」「主体性を持って課題に取り組みました」。
この組み合わせだけを読むと、書いた人が誰であっても、同じように読めてしまいます。
責任感がある人も、主体性がある人も、世の中にはたくさんいます。
けれど、その資質がどんな場面で、どんな行動として表れたのかは、一人ひとり違うはずのものです。
AIの下書きに欠けているのは、この「一人ひとり違うはず」の部分です。
資質の名前だけを残して、場面を書き足さないまま提出してしまうと、読み手には他の何十枚もの自己PRと同じ一枚に見えてしまいます。
下書き自体が悪いわけではありません。
問題は、それを最終稿だと思い込んで、そのまま出してしまうことのほうにあります。
次の章で、この資質のラベルを、実際の行動と場面に戻していく作業を見ていきます。
資質のラベルを行動に戻す作業は、思っているよりシンプルです。
まず、自分の書いた自己PRの中から、「〜力があります」「〜な性格です」のような言葉を探します。
責任感、主体性、協調性、リーダーシップ、コミュニケーション能力。
見つけた言葉ひとつにつき、思い出す場面はひとつで十分です。
複数の場面を詰め込もうとすると、結局どの場面も浅くなり、また元のラベルに戻ってしまいます。
思い出すときの手がかりは、「いつ」「どこで」「何をしたか」の3つです。
部活動の大会前日だったのか、文化祭の準備中だったのか、委員会の話し合いの場だったのか。
その場面で、自分が実際に何を言い、何を決め、何をしたのかまで、具体的に思い出してみてください。
たとえば、こんな場面。
文化祭の出し物が本番前日になっても決まらず、話し合いは平行線のまま時間だけが過ぎていく。
このままでは間に合わないと感じた瞬間、自分から意見をまとめる役を買って出た。
その一場面を思い出せたら、「リーダーシップがあります」という言葉は、もう要らないかもしれません。
Before例は、資質の名前だけで文章が完結しています。
After例は、その日その場で何をしたかが書かれているぶん、同じ場面を経験していない人が読んでも、行動の流れが目に浮かびます。
もうひとつ、例を見てみます。
「協調性」という言葉ひとつでは、この場面の細かさは伝わりません。
言葉を消してしまう必要はなく、言葉の後ろに、その日の行動を続けるだけで十分です。
一つの言葉に、いくつも場面を足す必要もありません。
ひとつの資質にひとつの場面、これくらいの配分のほうが、結果として読みやすい自己PRになります。
具体的な場面を書けるようになると、今度は別の不安が顔を出します。
「ここまで書いたら、絶対つっこまれる」
そう感じたなら、それは正しい感覚です。
自己PRに書いた一文は、そのまま面接の質問になると考えておいたほうがいい。
これは受験生を脅すための話ではなく、書く段階で確認しておきたい基準の話です。
たとえば、「文化祭の出し物を提案してまとめた」と書いたとします。
面接では、他の案を出していた人はどう反応したか、なぜその組み合わせを選んだのか、うまくいかなかった部分はなかったか。
こうした質問が、ほぼそのまま飛んでくると思っておいたほうが安全です。
つまり、自己PRに書く一文は、自分で自分への質問リストを配っているようなものです。
だから、書く段階で意識したいのは、答えられない場面をわざわざ選ばないことです。
かっこよく見える場面ほど、実は細部をあまり覚えていない、ということがあります。
そういう場面は、面接で聞かれた瞬間に言葉が止まりやすくなります。
反対に、地味でも自分がよく覚えている場面のほうが、聞かれるほど答えに厚みが出ます。
答えを一字一句用意して覚える必要はありません。
その場面で自分が何を考え、何を決めたか、流れだけ頭に置いておけば十分です。
覚えた言葉をなぞろうとすると、かえって本番で思い出せなくなることもあります。
学校や塾で模擬面接の機会があれば、自己PRに書いた場面をもとに質問してもらい、答え方を試しておくと安心材料になります。
家族や友人に読んでもらい、「ここ、何を聞かれると思う」と質問を想定してもらうのも有効です。
書類の上でだけ整った文章になっていて、自分の中で理由づけができていない場面があると、面接ではその一箇所だけ言葉に詰まってしまいます。
ここまでの作業を終えたら、提出前に一度、時間を置いてから読み返してみてください。
書いている最中は気づきにくい「言葉だけで終わっている箇所」も、少し時間を空けると見えやすくなります。
確認しておきたいのは、次の点です。
一つずつ確認していくと、見落としは少しずつ減っていきます。
自分の文章を、自分だけで客観的に読むのは、思っている以上に難しい作業です。
資質の名前ばかりが並んでいないか、場面の後ろに何も続いていないか。
そうした偏りを確認する方法として、赤ペン願書ラボの無料セルフチェックツールを使う方法もあります。
文章を貼り付けると、資質を表す言葉の密度や、場面の具体性が薄い箇所を確認できます。
このツールは、AI利用を隠したり、検出を回避したりするためのものではありません。
指摘された箇所に、自分が実際にやったことを足していくための手がかりです。
「責任感があります」の一文が、まだ画面に残っている。
その後ろに、あの日の一場面を書き足すところから、自己PRは自分の言葉に変わっていきます。
願書・志望理由書のAIっぽさを赤ペン診断。
試してみる →すべての指摘と言い換え例、全文書き直し指示文の完全版。
Brainで見る →生徒がAIで書いてくる時代の添削キット。質問集・文例・テンプレ30。
Brainで見る →受験の先にある教育費の計画を、オンラインで。
詳しく見る →お金の話を気軽にできる、無料のオンラインの町。
のぞいてみる →※ 勉強会・サロンは、提携先fulfullの運営です。