志望理由書をAIに手伝ってもらったあと、多くの人が同じ言葉を検索します。
「ChatGPT ばれる」という検索の裏には、実は一つではなく、いくつかの違う不安が重なっています。
一つ目は、AIを使ったこと自体がルール違反にあたるのではないか、という不安です。
二つ目は、文章の言い回しが不自然で、読んだ人に違和感を持たれるのではないか、という不安です。
三つ目は、面接で書いた内容について聞かれたときに、うまく答えられないのではないか、という不安です。
この三つは似ているようで、実はそれぞれ対処の仕方が違います。
ルールの話は学校ごとの方針を確認するしかありませんし、文章の違和感は書き方の工夫で減らせます。
そして三つ目の「面接で困る」という不安は、実は最も本質的な問題につながっています。
なぜなら、AIを使ったかどうかより、自分の言葉で語れるかどうかのほうが、最終的には重く見られやすいからです。
まずはこの三つを分けて考えることが、不安を整理する第一歩になります。
AIで下書きした文章には、いくつかの共通した傾向があると言われています。
一つは、抽象的な言葉が多く並ぶ傾向です。
「主体性」「グローバルな視野」「多様性を尊重する」といった言葉が、具体的なエピソードなしに続くケースがよく見られます。
二つ目は、「〜しております」「〜と考えております」のような丁寧な語尾が、不自然なほど繰り返される傾向です。
三つ目は、「」(かぎ括弧)の中に、教訓めいたフレーズが挿入されるパターンです。
たとえば「『挑戦こそが成長の鍵である』ということを学びました」のような、格言のような一文が唐突に出てくる場合があります。
四つ目は、文の長さがそろいすぎている点です。
人が書く文章は長い文と短い文が自然に混ざりますが、AIが生成した文章は、一文一文の長さが均一に整いすぎることがあります。
ただし、これらはあくまで「よく見られる傾向」であり、人間が書いた文章にも同じ特徴が出ることはあります。
逆に言えば、これらの特徴だけで「AIが書いた」と断定できるわけではない、ということも知っておく必要があります。
だからこそ、自分の文章にこうした傾向がないか、一度客観的に見てみることが役に立ちます。
学校側がどこまでAI利用を確認しているかについては、公表されている情報が限られています。
そのため、ここでは断定を避け、一般的に言われていることを整理します。
一つは、面接で書類の内容について質問し、書いてある内容と話す内容に矛盾がないかを見ている、という指摘です。
書類に書いたエピソードについて、具体的な場面や自分の感情を聞かれたとき、答えに詰まってしまうと、書類の内容そのものへの信頼が揺らぐことがあります。
二つ目は、文章の書き方が本人の話し方や過去の提出物と大きく異なっていないかを見ている、という指摘です。
三つ目は、一部の学校でAI検出ツールや類似性チェックのしくみを参考にしている可能性がある、という指摘です。
ただし、AI検出ツールの精度は保証されていないというのが実情です。
生成AIで書かれた文章でも人間の文章と判定されることがありますし、その逆もあり得ます。
また、生成AIの扱いは大学によって対応が分かれていると言われており、全ての学校が同じ基準を持っているわけではありません。
つまり、ツールの判定結果だけに一喜一憂するより、書類と自分の言葉が一致しているかを整えるほうが、現実的な備えになります。
ここまで見てきたように、「AIを使ったことがばれるかどうか」は、実はコントロールしきれない部分が多いテーマです。
検出の精度も学校の方針も、こちらから確認しきれるものではないからです。
一方で、コントロールできることもあります。
それは、志望理由書に書いた内容を、自分の言葉で説明できる状態にしておくことです。
「ばれるか」という問いは、常に何かを隠している前提に立っています。
これに対して「伝わるか」という問いは、自分の考えをきちんと届けられているかという、前向きな基準です。
AIを下書きの補助として使うこと自体は、多くの受験生がすでに行っている一般的な手段になりつつあります。
問題になりやすいのは、AIが出した文章をそのまま提出し、自分の経験や考えと結びつけないまま終えてしまうケースです。
逆に言えば、AIを使ったとしても、最終的に自分の言葉と経験に落とし込めていれば、面接で聞かれても答えに詰まりにくくなります。
視点を「隠せるかどうか」から「伝わるかどうか」に変えるだけで、書類の作り方そのものが変わってきます。
これは不安を消すための考え方ではなく、書類の質を上げるための、より実用的な基準です。
「伝わるか」を基準にすると、具体的にどう書けばよいかが見えてきます。
まず、AIに書いてもらった文章をそのまま使うのではなく、一度すべて自分の言葉に書き直すことをおすすめします。
書き直す際は、AIが提案した抽象的な言葉を、自分が実際に体験した場面に置き換えていきます。
「主体性を発揮した」ではなく、「文化祭の実行委員で、意見がまとまらなかったときに何をしたか」のように、具体的な状況と自分の行動を書くイメージです。
次に、文章の中に自分が普段使わない言葉がないかを確認します。
読み上げてみて、話し言葉として不自然に感じる部分は、面接で聞かれたときにも答えにくい部分になりがちです。
また、エピソードには具体的な数字や場面をできるだけ入れておきます。
「多くの人と協力した」より、「部員12人のうち意見が割れた3人と個別に話した」のように書くほうが、後から自分の言葉で説明しやすくなります。
最後に、提出前に「この一文について聞かれたら、具体的に何を話すか」を自分の中で確認しておくと安心です。
一文ごとに背景を説明できる状態になっていれば、AIを使ったかどうかという問い自体が、あまり重要ではなくなります。
とはいえ、自分の文章にAIっぽい特徴が残っていないか、自分だけで判断するのは難しいものです。
そこで役立つのが、文章のAIっぽさを可視化するセルフチェックツールです。
赤ペン願書ラボでは、志望理由書などの受験書類を無料で診断できるツールを提供しています。
抽象語の密度や語尾の繰り返し、文の長さのばらつきといった、先ほど紹介したような特徴を機械的にチェックし、目安として示します。
ここで大切なのは、診断結果を「合格・不合格の判定」として使わないことです。
AI検出ツールの精度は保証されていないため、結果はあくまで一つの参考指標として受け取るのが安全な使い方です。
診断で指摘された箇所を、自分のエピソードや言葉に書き直すきっかけとして使うと、書類の完成度そのものが上がっていきます。
提出前の最終チェックとして、一度自分の文章を客観的に見てみることが、遠回りに見えて、実は一番効果的な備えになります。
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