総合型選抜で提出する活動報告書について、志望理由書との役割の違いや書くことがないと感じたときの棚卸しの手順、実績を盛らずに伝える書き方までを整理して解説します。
活動報告書の欄が、まだ真っ白のまま画面に残っています。
スマホでは、先輩や合格者の体験談アカウントを何本もスクロールしています。
部長、全国大会出場、海外ボランティア。
「自分には、ここに並ぶような実績が一つもない」。
そう感じて手が止まった人に向けて、この記事を書きます。
総合型選抜では、志望理由書とは別に活動報告書という書類の提出を求められることがあります。
大学によっては自己推薦書、活動記録などと呼び方が変わることも。
呼び方が違っても、聞かれている中身の方向性は近いものです。
学力試験の点数だけでは測れない部分を、複数の書類を通じて確認しようとしている大学が多くあります。
活動報告書は、その中でも「これまでの行動の記録」を担う書類です。
見られているのは、取り組んできた活動の一覧そのものではありません。
その活動の中で、自分が何を考え、どう判断し、どう行動してきたかという過程です。
部活動の大会成績やコンクールの受賞歴があれば、もちろん書く材料になります。
ただし、実績の大きさだけが評価基準ではありません。
目立った結果が出ていない活動でも、取り組み方や工夫が具体的に書かれていれば、十分に読み応えのある書類になります。
活動報告書は「これまでの自分」を説明する書類。
まずそう捉えておくと、書く内容を選びやすくなります。
「実績と呼べるものがない」と感じている人ほど、この先の棚卸しが役に立つはずです。
様式は大学によってさまざまです。
自由記述のこともあれば、いくつかの項目を埋めていく形式のことも。
どちらの形式でも、聞かれている内容の芯は、ここまで説明してきた過程の部分だと考えておいて差し支えありません。
活動報告書と志望理由書は、同じ提出書類なのに、見ている時間の向きがまるで違います。
志望理由書は、これから大学で何を学びたいか、先のほうに重心を置いた書類。
活動報告書は、これまで何に取り組み、何を得てきたか、これまでのほうに重心を置いた書類です。
向いている方向は違っても、両者はつながっています。
これまでの活動の中で見つけた関心が、これから学びたいことの土台になっている。
その筋道が見えると、書類全体に一貫性が生まれます。
では、活動報告書の内容と志望理由書の学びたいことが、まったく別の方向を向いていたらどうなるでしょうか。
読み手はどこかちぐはぐな印象を受けます。
両方を書き終えたら、一度並べて読み比べてみてください。
つながりがあるかどうかを確認しやすくなります。
志望理由書で触れた経験と、活動報告書に書いた経験が、まったく別のエピソードになっている場合は要注意です。
一度立ち止まって見直したほうがいい箇所になります。
それぞれの書類は、面接でも参照されることがあります。
役割の違いを意識せずに書き始めると、二つの書類はどうしても似た内容になりやすいもの。
まずは、活動報告書に何を書くかを固めていきましょう。
「活動報告書に書けるような実績がない」。
そう感じる人は少なくありません。
賞をとったことがない、部長や委員長のような役職についたこともない。
それだけで、活動が何もない状態だと思い込んでしまいがちです。
ですが、書ける材料は賞や役職だけに限りません。
長く続けてきたこと、途中でやり方を変えたこと、失敗をきっかけに考えを改めたこと。
どれも立派な活動の記録になります。
まずは、材料を探すための棚卸しから始めてみましょう。
最初にやるのは、時系列で書き出すことです。
入学してから今までに取り組んできたことを、部活動、委員会、学校外の活動、日々の習慣に分けて、思いつく限り並べます。
大きな出来事だけでなく、毎週続けている小さな取り組みも書き出すのがポイントです。
それから、意外と見落とすのが数字です。
続けてきた期間、参加した回数、関わった人数。
数字で表せる部分があれば、書き出したメモに添えておきます。
数字は実績の大きさを競うためではなく、活動の具体性を伝えるための材料として使います。
最後のひとつは地味ですが、一番効きます。
自分の判断があった場面を探すことです。
指示されてやったことではなく、自分で考えて選んだこと、やり方を変えたこと、迷った末に決めたこと。
そこに印をつけていきます。
この判断の場面こそ、活動報告書の中で最も書く価値のある部分になります。
三つを終える頃には、賞や役職とは違う種類の材料が、思っていたより多く手元に残っているはずです。
活動の種類ごとに、書ける材料の例を整理すると、次のようになります。
| 活動の種類 | 書ける材料の例 |
|---|---|
| 部活動 | 続けた期間、練習メニューを自分で工夫した経験、後輩への関わり方 |
| 委員会・生徒会 | 担当した仕事の中身、困りごとへの対応、次の代への引き継ぎ方 |
| 探究活動・研究 | テーマを選んだ理由、調べ方や進め方の工夫、途中で行き詰まった点 |
| 習い事・部活動以外の継続活動 | 続けてきた年数、上達のために変えたやり方、続けられた理由 |
| アルバイト | 任された仕事の範囲、困った場面での対応、周囲との関わり方 |
| ボランティア活動 | 関わったきっかけ、参加した頻度、活動を通じて変わった見方 |
| 学校行事(文化祭・体育祭など) | 担当した役割、準備段階での工夫、うまくいかなかった点への対応 |
| 日常の中の継続 | 家庭学習の工夫、読書や記録の習慣、日々の役割への取り組み方 |
表に並べたのは一例にすぎません。
自分の生活を振り返れば、ほかにも材料は見つかります。
一つの欄に無理に当てはめようとせず、複数の欄にまたがる活動があれば、それぞれの側面からメモを残しておくと材料が増えます。
棚卸しで見つけた材料は、その場でメモに残しておくと、あとで文章にする段階で探しやすくなります。
一つの活動を大きく見せようとするより、複数の小さな材料を集めて、自分がどんなことに関心を向けてきたかを示すほうが伝わることもあります。
棚卸しで集めた材料を文章にする段階で、意識しておきたいのが「盛らない」ことです。
参加した大会の規模や結果を、実際より大きく書いてしまうとどうなるでしょうか。
あとで詳しく聞かれたときに、答えに詰まる原因になります。
役職についていなかったのに、中心的な役割を担っていたかのように書くのも、同じ理由で避けたいところです。
特に注意したいのが、「リーダーシップを発揮した」「主体的に取り組んだ」といった言葉。
それらしく聞こえる分、実際に何をしたのかが読み手に伝わりにくくなります。
赤ペンの判定ルールを書いていて気づいたのは、こういう言葉づかいほど、AIの文章にも人間の作文にもよく出てくるということでした。
言葉だけでは、書いた本人の顔が見えてきません。
「リーダーシップを発揮した」と書く代わりに、練習メニューを見直すよう提案した、意見の対立した場面で間に入って調整した。
実際にとった行動をそのまま書くほうが、内容は具体的になります。
言葉を強くすることと、内容を具体的にすることは、似ているようで別の作業です。
結果として目立つ成果につながらなかった活動でも、そこでの行動や工夫を正直に書いたほうが読み手には伝わります。
小さな出来事でも、本当にあったことのほうが、盛った大きな出来事より支えになりやすいもの。
書類としても、その後の受け答えとしても。
書き終えた文章を読み返すときは、一文ごとに「これは実際にあったことか」と自分に確認する習慣をつけておきましょう。
盛った表現に気づきやすくなります。
迷ったときは、活動を一緒に見てきた顧問の先生や友人に読んでもらう方法も有効です。
事実と違う部分がないかを確認してもらいます。
盛った表現を削ると文章の分量が減ることがありますが、そのときは新しい出来事を付け足すのではなく、棚卸しで見つけた別の材料に差し替えることを考えてみてください。
活動報告書と志望理由書を両方仕上げたあとは、内容が重なりすぎていないかを確認する段階に入ります。
同じ活動について、どちらの書類にも同じように詳しく書いてしまうと、読み手は同じ話を二度読まされているように感じます。
重複が起きやすいのは、自分の中で一番印象に残っている活動を、両方の書類でつい中心に据えてしまうときです。
役割の違いに立ち返ってみましょう。
活動報告書には活動の過程を、志望理由書にはその活動からつながる学びへの関心を、それぞれ中心に置く。
そう調整すると重複は減っていきます。
同じ活動をどうしても両方で扱いたい場合は、片方では出来事の経緯を、もう片方では出来事から生まれた関心を書くという手もあります。
切り取る角度を変える方法です。
この調整は、どちらかの書類を書き直すというより、二つの書類の役割分担を整理し直す作業に近いもの。
仕上げの段階で、次の点を確認してみてください。
こうした重複や表現の偏りは、自分一人で読み返しているだけでは気づきにくいものです。
赤ペン願書ラボの無料セルフチェックツールでは、書き終えた文章を貼り付けると、抽象的な言葉の多さや語尾の偏りといった特徴を確認できます。
活動報告書と志望理由書、それぞれの文章を順番にかけてみてください。
画面の白い欄は、埋まらないまま置いておいても何も変わりません。
棚卸しで見つけた小さな一つを、まず一行だけ書いてみる。
そこから始まります。
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