願書と志望理由書は何が違うのか、受験準備を始めたばかりの方に向けて、それぞれの役割・様式が学校ごとに異なる理由・書く内容の違い・見直しのポイントまで順番に整理して解説します。
学校から届いた封筒を開けると、思っていたより書類の枚数が多くて、一瞬手が止まります。
「これ、全部出すの?」
封筒から出てきた紙を並べてみると、「入学願書」と「志望理由書」という、似ているようで違う言葉が並んでいます。
どちらも学校に提出する書類ですが、役割はまったく同じではありません。
願書は、受験する子どもと家庭の基本情報を学校に伝えるための書類です。
氏名や生年月日、住所、保護者の連絡先など、事務的な情報を正確に記入することが求められます。
様式に沿って埋めていく作業が中心なので、文章力より正確さがものを言う書類だといえます。
一方の志望理由書は、なぜその学校を選んだのかを、家庭の言葉で伝えるための書類です。
決まった事実を記入する願書と違い、志望理由書には家庭の考えや子どもの様子を自由に書く余地があります。
学校側はこの書類を通じて、家庭の教育方針と学校の方針がどれくらい重なっているかを見ています。
つまり願書は「誰が」「どこに」出願するのかを伝える書類。
志望理由書は「なぜ」その学校なのかを伝える書類、と整理できます。
役割は別でも、二つはセットで学校に提出されるものです。
どちらか一方だけを丁寧に仕上げても、もう一方が雑になっていると、全体の印象がちぐはぐに映ることもあります。
最初にこの役割の違いを知っておくと、それぞれに何を書けばいいのか、迷いにくくなります。
受験準備を始めたばかりの家庭ほど、二つの書類を一括りにして「とにかく書類を仕上げなければ」と身構えてしまいがちです。
けれど願書と志望理由書は求められていることが違うので、同じ姿勢で取り組もうとすると、かえって時間がかかってしまうことがあります。
役割を分けて考えられるようになると、願書は落ち着いて正確に記入する作業、志望理由書はじっくり言葉を選ぶ作業として、それぞれに合った進め方ができるようになります。
願書と志望理由書という呼び方は、実のところ便宜的なものです。
学校によって書類の名称も様式も、かなり違います。
「入学願書」の中に志望理由の記入欄が組み込まれている学校もあれば、「志望理由書」「面接資料」「自己PRカード」など、別の書類として独立させている学校もあります。
記入欄の分量もまちまちで、数行で済む学校もあれば、原稿用紙数枚分を求めてくる学校もあります。
呼び方や様式が違う理由のひとつは、学校ごとに知りたい情報の重心が違うからです。
面接を重視する学校では、面接で深掘りする前提で、記入欄は簡潔なことがあります。
書類選考の比重が大きい学校では、志望理由の記入欄がぐっと広く取られている傾向があります。
こうした違いがあるせいで、他の学校の願書や、先に受験を終えた家庭の書類をそのまま参考にすると、様式のずれに気づかないまま書き進めてしまうことがあります。
大切なのは、呼び方や様式の違いに戸惑うことではありません。
必ず募集要項に従って、その学校が求めている形式を確認すること。
これに尽きます。
募集要項には、記入欄の名称や文字数の目安、記入上の注意が示されています。
分からない点は思い込みで進めず、学校に問い合わせて確認しておくと安心です。
様式は学校ごとに違っても、家庭が伝えたいことの中身まで変わるわけではありません。
まずはその学校の募集要項を手元に用意して、どの欄に何を書くよう求められているかを確認するところから始めてみてください。
きょうだいで別の学校を受験する家庭では、上の子のときの様式のイメージが残っていて、下の子の受験でも同じだと思い込んでしまうことがあります。
学校が変われば様式も変わる、という前提でそのつど募集要項を確認し直す習慣をつけておくと、思い込みによる記入ミスを防ぎやすくなります。
役割が違う分、書く内容も変わってきます。
願書に書くのは、氏名・生年月日・住所・保護者の氏名や連絡先、通っている園や学校名といった、事実そのものです。
書き手の解釈や感想を挟む余地はほとんどなく、正確に、指定された通りに記入することが求められます。
一方の志望理由書に書くのは、その学校を選んだ理由や、家庭として大切にしている考え、子どもの様子といった、家庭の言葉で表現する内容です。
同じ「学校の教育方針に共感した」という理由でも、どの場面でそう感じたのかを具体的に書けるかどうかで、伝わり方はまるで変わります。
二つの書類の違いを整理すると、こうなります。
| 項目 | 願書 | 志望理由書 |
|---|---|---|
| 目的 | 基本情報を正確に伝える | 志望の理由を家庭の言葉で伝える |
| 書く分量 | 記入欄に沿った短い記述が中心 | 数百字程度のまとまった文章が中心 |
| 書く人 | 保護者が事務的に記入 | 保護者が家庭の考えを言葉にする |
| 見られるところ | 記入内容の正確さ・不備の有無 | 学校との重なり・具体性・実感の有無 |
| 書き直しの余地 | 誤記の訂正が中心 | 表現や場面選びを何度も練り直せる |
表からも分かる通り、願書は「正確さ」、志望理由書は「伝わり方」が問われる書類です。
願書の記入で気をつけたいのは、誤字脱字や記入漏れ、指定された書式からの逸脱。
志望理由書で気をつけたいのは、抽象的な言葉だけで終わらせず、実際に見た場面や聞いた言葉を具体的に盛り込むことです。
両方とも学校に提出する書類である以上、片方だけ丁寧に仕上げればいいわけではありません。
性質の違いを理解した上で、それぞれに合った時間の使い方をすることが要ります。
願書は短時間で仕上がる分、後回しにされがちですが、記入欄が小さいからこそ、誤りがあると目立ちやすい書類でもあります。
志望理由書は時間をかけるほど内容が深まりやすい書類なので、締め切り直前ではなく、早めに下書きに取りかかっておくと、見直す余裕が生まれます。
役割や書く内容は違っても、願書と志望理由書には共通して意識しておきたい点があります。
まず、募集要項に書かれた指示に従うこと。
文字数の上限、使用する筆記具、記入例の有無など、学校が指定する条件は書類ごとに違います。
指定を確認しないまま書き進めると、あとで書き直しが必要になり、時間に余裕がなくなってしまいます。
それから、意外と見落とされがちなのが、記入内容に一貫性を持たせることです。
願書に書いた基本情報と、志望理由書に書いた内容、面接で話す内容がずれていると、学校側に違和感を与えることがあります。
特に、通っている園や学校での様子、家族構成などは、書類同士で食い違いが生じやすい部分です。
提出前に見比べておくと安心です。
もうひとつは、早めに準備を始めること。
願書は記入するだけの書類に見えても、下書き用紙で一度練習してから清書すると、誤記を減らせます。
志望理由書は、一度書いて終わりにせず、時間を置いてから読み返す工程を挟むと、内容の抜けや偏りに気づきやすくなります。
どちらの書類も、締め切り直前になって慌てて仕上げるより、余裕を持ったスケジュールで進めるほうが、結果として落ち着いた内容に仕上がります。
最後のひとつは、地味ですが効きます。
家庭内で情報を共有しておくことです。
記入や下書きを一人の保護者だけで進めていると、もう一方の保護者が書類の内容を把握していない、という状況が生まれることがあります。
提出前に家族で一度目を通し合っておくと、面接で聞かれたときにも、家庭として一貫した受け答えがしやすくなります。
願書と志望理由書がひと通り書き終わったら、提出前に見直す時間を取っておくと安心です。
「これで大丈夫かな」
書いている最中は気づきにくい点も、少し時間を置いてから読み返すと見つけやすくなります。
特に、次の5点は書類ごとに確認しておきたいポイントです。
特別な技術がいるわけではありません。
どの家庭でも取り組める確認作業です。
一つずつ順番に見ていくと、見落としを減らしやすくなります。
赤ペン願書ラボの判定ルールを書いていて気づいたのは、志望理由書の抽象的な表現は、書いた本人がいちばん気づきにくいということでした。
封筒を開けたときの「これ、全部出すの?」という戸惑いは、書き終えるころには消えているはずです。
最後にもう一度、封筒の中身を並べ直すつもりで見直してみてください。
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